農薬について
林檎屋では、りんごでは慣行栽培の70~90%の農薬を削減しています。また梅は無農薬、柿は有機JAS対応可能なレベルまで減らしています。また使用する農薬の種類も、発がん性、催奇形性、環境への影響などを考慮して選んでいます。使用についても、収穫前の期間を十分に開けたり、隣接地の農薬飛散(ドリフト)も考慮し、安全性の向上に努めています。特に殺虫剤の削減に力を入れています。
残念ながらりんごは日本の気候に合わない果物です。大量の農薬によって日本のりんご栽培は成り立っている、それが現実です。日本の外観重視の風潮がそれに拍車を掛けます。今の半分まで減らせる、私はそう考えます。売る側、買う側の意識も問われています。
りんごと柿は、長野県の「環境にやさしい農産物」の認証を得ています。基本は50%削減ですが、上記のように実際はもっと減らしています。
りんご早生:慣行基準 34剤 → 林檎屋 4剤('17年度) りんご中生晩生:慣行基準 37剤 → 林檎屋 5~8剤('17年度) ※ ※ボルドーなど有機JAS認証で使用を認められている農薬を含めていますが、認証ではそれらの農薬はカウントしなくてよいことになっているので、その基準でいえば林檎屋はさらに2~3剤少なくなります。
環境について
私にとってはこの伊那谷の(今は亡き)原風景が全ての基本となっています。環境を守り、生態系を守るための持続的な農業を営むことが目指すところです。
農薬の削減だけでなく、栽培から出荷に至るまで使用する資材もなるべく環境に負荷の少ないものを選んで使います(誘引ひも、出荷資材、チェーンソーオイルなど)。多くの場合、高くつくか、手間が増えます。
加工品について
加工品になると農薬のことなど考えなくなるから不思議なものです。ジュースは皮ごと加工しますし、ジャムも皮を使うものは多いです。また浸透移行性の農薬も増えており、皮をむけば安心というわけでもありません。林檎屋の加工品は、主原料の安全性はもちろん、ジュースの酸化防止剤、ジャムのクエン酸やペクチンなどの余分な添加物は一切使いません。また砂糖や塩などの副原料も可能な限りこだわったものを使っています。なるべくシンプルに果実の味そのものを味わって欲しいと思っています。
味について
施設栽培でない以上、農産物は天候の影響を受けます。毎年味に違いが出るのは当然と考えます。特に最近の異常気象ではなおさらです。また畑によっても、果樹は樹や枝によっても違ってきます。そういった違いも意識して味わって頂ければと思います。
もちろん生産者として土づくりを行い、環境変化に強い美味しい農産物ができる努力をしていきます。
価格について
これだけこだわった栽培をすると、慣行の栽培に比べて手間も増え、収量はだいぶ減ります。同じものをいかに高く売るかではなく、林檎屋の場合は(林檎屋の価値観に共感して頂ける方であれば)その価格に十分に見合った価値を見出して頂けると思っています。